胃の中に細菌が存在していることは約100年前より報告されていましたが、病気との関連ははっきりとしていませんでした。胃酸のため強い酸性になっている胃の中に、細菌が生存していて病気をおこすとは考えられていなかったのです。
しかし現在では、胃の中に生存するピロリ菌と胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌などには密接な関係のあることがわかっています。今回は胃潰瘍の真犯人と思われているヘリコバクターピロリ菌(以下ピロリ菌)についてお話します。
日本人は罹患率が高く、50歳以上の約8割の人がピロリ菌に罹患していると考えられています。では、それぞれの病気との関係を考えてみましょう。
感染源は明らかとはなっていませんが、飲み水や食べ物を介して経口感染するといわれています。日本では50歳以上の人の感染率が高く、約8割の人が感染しています。ピロリ菌は幼少期に感染するといわれており、50歳以上の方たちは戦後の衛生状態が悪い時代に生まれ育ったため、高い感染率を示していると考えられています。若い人での感染率は先進国とほぼ同等です。
また「内視鏡を媒体としたピロリ菌感染」が注目されましたが、日本消化器内視鏡学会から「内視鏡の洗浄、消毒に関するガイドライン」が出され、内視鏡の洗浄・消毒が厳重になされるようになりました。
内視鏡をおこない、組織の小片を取り、直接的にピロリ菌の存在を確認する検査として培養法、組織鏡検法、迅速ウレアーゼテストなどがあげられます。迅速、簡便で精度も高い迅速ウレアーゼテストが検査の中心となっています。
内視鏡を行わずに間接的にピロリ菌を証明する検査として、検査薬を飲んだ後に呼気を集めて分析する尿素呼気試験や、血液検査である血清学的検査法があります。
ただし、現在は胃潰瘍、十二指腸潰瘍のある患者に限って保険適応が認められており、潰瘍のない患者に検査をおこなった場合は自己負担になります。
平成12年11月から胃・十二指腸潰瘍にかぎりようやくピロリ菌の除菌が保険適応となりました。抗生剤2剤とプロトンポンプ阻害剤(制酸剤)の計3剤を併用します。1週間、薬を飲むことによって90%以上の除菌率が報告されています。しっかり除菌するとその後は潰瘍の薬を飲む必要がなくなり、再発もほとんどありません。ただし、除菌の治療は中途半端でやめたりすると、ピロリ菌が薬に対して耐性をもち、次に除菌しようと思っても薬が効かなくなるおそれがありますので、必ず医師の指示通りに薬を飲むことが必要です。
出現率は10〜30%前後で一番多い副作用は軟便、下痢です。そのほかに味覚異常、口内炎など認められることがあります。 服薬を中止すると症状は改善するため、水様性下痢の持続や血便などなければ原則として服薬を継続してください。ただし、抗生剤(ペニシリン)を使用しますので、ペニシリンアレルギーなど薬剤アレルギーのある方は除菌できません。
